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製薬業界では、以前より製品ベースの営業からより顧客中心で価値ベースのエンゲージメントに移行する必要性が認識されていました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、この変革実現の緊急性は高まっています。製薬業界における従来の純粋な「シェア・オブ・ボイス」主導の販促モデルの持続可能性はますます低下しており、中期的にリーダーポジションを確保することができるのは、顧客のニーズを中心に据えてカスタマーエンゲージメントの変革に取り組む企業であると言えます。
多くの製薬企業はすでにカスタマーエンゲージメントの変革に着手してきましたが、テクノロジーの導入にばかり注力してきたケースが頻繁に見受けられます。パンデミックが従来のカスタマー・エンゲージメント・モデルに対して圧力を強める中、製薬企業は新たなカスタマーエクスペリエンスを提供するための全体ビジョン、戦略、そして何よりも重要なコンテンツを欠いていることに気づき始めています。加えて、人材のケイパビリティやマインドセット、リスク管理や規制管理、そしてチェンジマネジメントのプロセスにも新たなニーズがあることも認識しています。
Strategy&は本レポートにおいてまず、カスタマーエンゲージメントの現状を掘り下げ、製薬会社が組織全体で顧客ニーズに合わせたカスタマーエンゲージメントの変革を進める方法について考察しています。そして、カスタマーエンゲージメントを向上させるために、顧客グループや、市場・組織内の状況などに応じて、2つの新しいカスタマー・エンゲージメント・モデルの導入が可能であるとして各モデルの特徴をはじめ、これらの導入を成功させるために必要なケイパビリティなどについて論じています。
COVID-19のパンデミックは、医師の患者との関わり方を変え、製薬会社が自社のカスタマー・エンゲージメント・モデルを再考する必要性が加速していることを明らかにしました。製薬会社の担当者と接する医師の場合、1対1であれイベントのような場であれ、営業との対面でのやり取りは、依然としてバーチャル上よりもより価値が高いとされています。対面時間を持つことで生じるいかなる制約を考えてもなお、対面が選好されることは、現在のバーチャルなチャネルを利用したカスタマーエクスペリエンスと、あるべきエクスペリエンスとの間にギャップがあることを示しています。さらにこのことは、製薬会社がバーチャルなやり取りの質と価値を高める余地があることを示唆しています。
自社がカスタマーエンゲージメントの変革のどこまで歩みを進めているかにかかわらず、今は一歩下がって、どこに向かうのか、どこまで進んだのか、どのようなギャップが残っているのかを振り返る好機であると言えます。また、現在と未来の顧客は誰であるのか、カスタマーエクスペリエンスの原動力は何なのか、そして、今後のビジネスのカギとなるステークホルダーは誰で、どのようなパートナーシップを築く必要があるのかについても、熟慮することが求められています。
本レポートでは、自社のケイパビリティの試金石として、以下の設問について確認することを推奨しています。
製薬業界における従来の「シェア・オブ・ボイス」主導の販促モデルは、5年以内に、あるいはそれよりも早く、カスタマーエクスペリエンスの差別化へと入れ替わっていくと予想されます。製薬会社は、変革プログラムを今すぐにも加速させる必要があり、すなわち、魅力的かつ深い洞察に基づくデジタルマーケティングと、迅速でニーズに基づいたカスタマーエンゲージメントをシームレスに結びつけるケイパビリティの構築が求められています。
レポート内に掲載されている執筆者および監訳者の所属・肩書は、レポート執筆・監訳時のものです。