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2020-02-06
医薬品開発の効率化またはコスト低減のために製薬会社が開発業務のアウトソースを促進するなか、堅調な成長を遂げてきた日本国内のCRO(医薬品開発業務受託機関)業界が岐路に立っている。一般社団法人日本CRO協会のデータ1によれば、同協会所属の会員企業の総売上は過去10年間、9%強の成長率で右肩上がりに伸びてきたが、2018年度には前年比-1%と初めて減少に転じた(図表1)。これまで、CRO業界の成長を牽引してきたモニタリングアウトソーシング業務の成長が鈍化したためである。
近年、国内のCROが採用してきた打ち手に関して特徴的なのは、各社一様に規模の拡大を追求してきたことである。
つまり、近年のこうした規模拡大の打ち手は、むしろCRO間の同質化を招き、必ずしも収益性の向上にはつながってこなかったのである。
市場規模が減少に転じ、顧客である製薬会社からのアウトソース需要の鈍化したCRO業界は今、これまでの事業戦略を見直すべき時期に来ている。
ところで、国内CROの将来のあるべき姿はどのようなものだろうか。その問いに答えるために、本稿ではまず、近年における製薬会社の治験のトレンドを概観したうえで、将来の市場環境に影響を与え得る重要な変化について考察する。次に、治験のトレンドを踏まえると、主要顧客である製薬会社にとって現在、どのような悩み事が顕在化しており、そこから導かれるCROに対する要求はどのようなものであるかを導きたい。そして最後に、将来にわたって顧客のニーズを満たし続けるために、あるべきCROの将来像に関する仮説を提示し、新たなソリューションの展開を実現するうえで、必要となるケイパビリティを明らかにしたい。
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