EUネットゼロ産業法のインパクト

ー雇用機会創出は300万人規模ー

EUで最大300万人の雇用創出が見込まれる「グリーンカラー産業」の機会
EUのネットゼロ技術需要の40%を域内で製造

ネットゼロ産業法(NZIA)は、EUにおけるクリーン技術の製造拡大を目的とするものであり、2030年までに戦略的ネットゼロの年間導入ニーズの少なくとも40%を供給することを目標としています。影響を受ける技術には太陽光、風力、電池・蓄電池、ヒートポンプ、地熱エネルギーが含まれます。

同法の目的は、以下の3つの長期目標を達成することです。

  • 1
    EUにおけるネットゼロ技術製造のレジリエンスと競争力を強化する
  • 2
    EUにおけるネットゼロ技術プロジェクトの認可条件を改善し、域外からEUへの直接投資を呼び込む
  • 3
    EUの2030年気候・エネルギー目標に向けた進展を加速し、質の高い雇用を創出する

「NZIAは、EUとグローバル、双方の企業にとって存立の脅威であると同時にチャンスでもあります。意思決定者は、現状に問題を提起し、先を見据えた積極的な計画を立てなければなりません」(Dirk Niemeier、Sebastian Hock Strategy&)

2030年までにネットゼロ関連の製造能力を引き上げる強力なインセンティブ

2021年時点では、風力発電、電解槽、ヒートポンプのみが40%の目標を大きく上回っています。その一方で、他の全ての分野の製造能力は目標を下回るか、目標に近い水準にあります。製造能力を大幅に引き上げない限り、EUでは、風力発電を除く全ての対象技術で2030年までに需要の40%を満たすことができないでしょう。

NZIAがEUのエネルギーセクター雇用に及ぼすと予想される影響

EUのエネルギーセクターにおける雇用者数は2019年時点で760万人でした。NZIAを含む現在進行中のイニシアチブの効果を考慮すると、EUでは2030年までにエネルギーセクターで合計300万人の追加雇用が創出される見込みです。

製造能力の拡大と、その成長を支えるためのバリューチェーンの拡大によって追加雇用が創出されることになります。したがって、NZIAはEUのエネルギーセクター全体にとっての大きな成長機会と言えます。

必要なアクション

NZIAが迅速に実施されれば、米国インフレ抑制法(IRA)への適切な対応策となり、EUにおける新たな機会の創出が可能となります。

欧州委員会

協議と決定プロセスを迅速化し、シンプルかつ現実的な実施を促進する

EUの企業

廃業に追い込まれないよう、事業を変革してより高い志を持った企業とパートナーシップを構築する

EU外の企業

EUの製造拠点を迅速に確立し、世界で最も重要な市場へのアクセスを確保する

Jan Pasemannも本レポートに貢献しています

※本コンテンツは、『The Net Zero Industry Act』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

EUネットゼロ産業法のインパクト ー雇用機会創出は300万人規模ー

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一 彰介

一 彰介

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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