第4回eReadiness調査2023年 報告書

――消費者のニーズ分析と自動車メーカーへの行動提言

「eReadiness調査報告書」は毎年、国・地域ごとにEV市場の成熟度や消費者意向を調べています。今回は18市場を対象に、需要動向と成熟度の現在地から、自動車メーカーに向けた5つの施策をまとめました。日本版ではグローバルと異なる傾向を示す消費者の意向を解説します。

グローバルにおける消費者のニーズ

  • 消費者はeモビリティに強い関心を示しており、調査対象者の約30%が今後2年以内にEVを購入する意向があると回答しています。
  • EV所有者(回答者の6%)は、主に都市の中心部に居住する高所得の中年男性で、その多くは自家用の駐車スペースを持っています。
  • EV見込み客(回答者の62%)は、EV所有者よりも最大で20%所得が低いことが明らかになりました。特定されたEV見込み客の6つのペルソナのうちEVの購入意欲が最も高いと考えられるのは、テック好き、理想追求型、高級志向型、実際家でした。これら4タイプが今後2年間の需要予測の約70%を占めていることから、EV市場がマス市場へと進化しつつあることがうかがえます。
  • EV懐疑派(回答者の32%)は女性が多いほか、EV見込み顧客と比べると可処分所得が低く、年齢が約7歳年上という特徴があります。
  • EV所有者がオンラインでEVを購入した割合は20%前後で、その大部分を高級車が占めます。EV所有者の65%は利便性と価格の透明性を主な理由に、次の車をオンラインで購入することを検討しています。
  • 中古EVに対する関心は著しく高まっています。EV所有者の60%は、安価ですぐに手に入ることを理由に中古EVの購入に関心を示しています。ただし、バッテリーの健全性が不透明であることが、依然として中古EVの購入を阻害する大きな要因となっています。

eReadiness指数

「EV関連の政府優遇措置」「インフラ」「EVの供給」「需要」の4側面からEV市場の成熟度を測るeReadiness指数(対象はタイを除く17市場)では、充実した充電インフラや高い消費者需要に支えられて、欧州ではノルウェー、スイス、ドイツの指数が非常に高くなりました。イタリアとスペインは、政府が手厚い優遇措置を提供しているにもかかわらず、後れをとっている状況です。

APAC(アジア太平洋地域)地域では、旺盛な消費者需要の後押しによって、香港、中国、シンガポールのeReadiness指数が非常に高くなっています。特に香港と中国では、成熟した充電インフラが高いeReadiness指数を下支えしています。

調査対象となった全ての市場の中で、eReadiness指数の低さが際立ったのはオーストラリアでした。

日本における消費者のニーズ

  • 日本におけるEV保有者の満足度や継続利用意向は高いものの、新規購入検討者層は少なく、今後のEV保有者の増加スピードは緩やかになる可能性が高いと考えられます。
    • EV見込み客は他の先進諸国等よりも少なく、調査回答者の3分の1程度。6割はEV懐疑派が占めている
    • EV保有者は低満足度の傾向が見られた。主な不満要因としては充電時間や経路充電アクセスが挙げられている。ただ、ユーザー側で対処できる課題であり、購入後の離反は比較的少ないため継続利用意向は高い
    • EV見込み客は、車両としては小型~コンパクトのハッチバックやSUV、ワゴンを希望する割合が大きい
  • 日本におけるEV保有者は、他の先進国等と比べて、所得水準が低いといった傾向があり属性の偏りが小さくなっています。一方、通勤時のマイカー利用率の低さなどから、自動車の日常利用が少ない層が購入している可能性があります。
    • 日本のEV保有者は他の先進国等と比べて所得水準が低く、女性比率が高いほか、年齢層も若者~高齢者まで広く分布
    • マイカー通勤比率や1週間あたりの通勤の頻度が低く、EV特性に適した近距離・高頻度の利用機会よりも、週末のレジャー利用等の中長距離の利用機会が相対的に多いことが推測される
  • EV見込み客/懐疑派ともに価格よりもバッテリー寿命や充電時間等が普及のボトルネックですが、性能への理解浸透やインフラ側の改善により、短中期的には解消が見込まれると考えられます。ただし、EV懐疑派は利用傾向からEV保有に馴染みにくい可能性があります。
    • 日本のEV見込み客は一定の所得水準を有している。しかし、通勤やレジャーでの利用を兼ねるマイカーをEVとすることをためらっている様子。実際、購買阻害要因にはバッテリー寿命や航続距離が挙げられる
    • EVの大衆化に伴うバッテリー性能への理解拡大や急速充電の出力向上といったインフラ側の改善で、ボトルネックが解消する可能性がある
    • 日本のEV懐疑派は所得水準が低く、マイカーの通勤利用が少ないことから、そもそもEV特性に馴染まないと見られる。ただ、購入阻害要因はEV見込み客と同じであるため、時間の経過とともに解消する見込みもある

※本コンテンツは『eReadiness 2023 Customer needs and recommended actions for OEMs』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

第4回eReadiness調査 2023年 報告書

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