DXは間違いなく必要です。しかし、今日の世界で成功するためには、デジタル化以上の何かが求められます。競争優位の本質が変わったこと、そしてデジタルなだけでは不十分であることを理解しなければなりません。
著者2人が、数年にわたる詳細な研究に基づき、12社の内部へと読者を案内します。その企業のリーダーたちがいかに自社のビジネスモデルを再構想し、漸進的なデジタル・イニシアチブにとどまらない見事なトランスフォーメーションを成し遂げたか、その方法を明かします。研究によって見えてきたのは、この12社に共通する要素が7つあることでした。この7つの共通要素が、他の企業のリーダーがデジタルを越えたその先の世界で成功するために、いかに自社を変革し得るかを示すロードマップとなります。本書はStrategy&がグローバルで2022年1月に発刊した「Beyond Digital」の日本語版です。
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優れたリーダーは、未来を形作るためにどのようにして組織にトランスフォーメーションを起こしたのか。著者であるポール・レインワンドとマハデバ・マット・マニに聞きました。
「デジタル化に多くのエネルギーをつぎ込み、多額の投資をしているにもかかわらず、実際には差別化につながる重要な選択が後追いになっている」という不安を、多くのリーダーが口にするのを聞きます。では、今日の成功を牽引しているものは何でしょう? 価値創出モデルは、次の3つの変化によって、根本的に変わりました。
技術革新についていくためにオペレーションのデジタル化を次々に実行するという古いプレイブックでは、もはや差別化はできません。
今日の新しい経営環境で有意義なトランスフォーメーションを成功できるか否かは、上述した新たな競争力学に対処できるかどうかに懸かっています。つまり企業は、唯一無二の方法で自社の価値を提供できる独自のケイパビリティを構築したり、デジタルが実現するエコシステムを活用したり、何らかの大規模な社会問題に取り組んだりしなければならないということです。
このトランスフォーメーションを構造化して実行するために、リーダーはどのような手順を踏めばいいのでしょうか。私たちの研究の結果、企業にこれがあればトランスフォーメーションを成功させられる、そして未来を形作れる、という7つの必須要件が明らかになりました。
自社が解決するべき問題と、その問題を解決するために自社を差別化するケイパビリティとして何が必要なのか、その両方を再定義する。
どの企業も単独では成し得ない価値提供を実現するために他の組織と協力し、必要とされるケイパビリティにアクセスする。
顧客と信頼関係を構築し、真の要求やニーズについて独自の知見を手に入れることで、自社が創出する価値を高める。
差別化に必要なケイパビリティを実現する成果指向チームに、多面的なスキルを集める。
協調的な成果を促進するためにリーダーシップチームの権力構造を再考して、トランスフォーメーションを推進することにチームの焦点を移す。
従業員との関係を再定義し、従業員を価値創出モデルの中心に置いて、トランスフォーメーションを主導するための自由度と手段を与える。
自身のリーダーシップのケイパビリティを発展させるために主体的に投資して、リーダーシップのさまざまなパラドックスにおいてバランスが取れるような新たなタイプのリーダーシップを構築する。
『ビヨンド・デジタル』のための研究に取り組むうちに、リーダーが自分の組織を再構想し再設計するためには、企業のトランスフォーメーションに加えて、リーダーも自身のアプローチを変革する必要があることが次第に明らかになりました。
成功するリーダーの特徴は1つではありません。リーダーに必要な資質は一揃いあり、その多くは一見したところ矛盾しあうものです。私たちはこれを、リーダーシップにまつわる6つのパラドックスと呼んでいます。
私たちが集めた調査データによると、回答者の圧倒的多数が、リーダーシップにまつわる6つのパラドックスは成功のために重要あるいは必要不可欠だと考えています。一方で回答者は、リーダーの多くがこうした基本的な資質について習熟度に欠けるという憂慮すべき懸念も述べました。
リーダーシップにまつわる6つのパラドックスとは何でしょう? そして、リーダーはどのようにして理想と現実のギャップに対処したり、自己開発を進めてパラドックスを受け入れたりすればいいのでしょうか。
さまざまな革新的な技術の登場によって、産業構造の変革や社会課題の解決を加速することが期待されますが、そのためには、企業が、これらの技術を活用しながら、企業変革力の強化や新たな価値創造・ビジネス変革に挑戦しなければなりません。本書は、数多くの具体的な事例に基づき、その挑戦を成功に結び付けるために組織に必要なケイパビリティとその構築手法を明らかにしており、変革を志すリーダーに強くお勧めします。
『ビヨンド・デジタル』は、自らが率いる企業を抜本的に点検・再構築するために、少しずつ変化を積み重ねることも、1回変わるだけのプロジェクトを実施することも本気でやめようとしているリーダーの必読書
『ビヨンド・デジタル』には、もはやデジタル化が差別化にならない時代に、トランスフォーメーションを望む企業にとって役に立つロードマップが書かれています。十分な研究に基づく、詳細なロードマップです。
「『ビヨンド・デジタル』には、明日のリーダーに成功をもたらす必須要素やアクションが明快に述べられています」
組織とリーダーが本気で今までのやり方に疑問を持ち、考え方や行動や関与のしかたを変える気になった時に初めて、持続的で有意義なトランスフォーメーションが起こるのです
「この本を読むと、21世紀半ばの考え方ができるようになります」