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2020年から3年にわたって世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がようやく収束の兆しを見せ、アフターコロナと呼ばれる時期に入った。だが、この3年の間、世界の動きが止まっていたわけではない。デジタル技術の活用や、ESG(環境・社会・企業統治)への対応は大きく進んだ。同時に地政学リスクの向上といったテーマの存在感が一層高まっており、これらの要素が複雑に絡み合った企業間の競争が激しくなっている。
長らく「失われた時代」をさまよい続ける日本は、少子高齢化、莫大な社会保障関係費、巨額の財政赤字といった課題を抱え続けている。コロナ禍によって消費者の行動や意識が変わったほか、浮き彫りになった周回遅れのデジタル対応も多少の対策は進んだが、世界との差は大きくなったようにも思える。
様変わりした世界を生き抜いていくためには、日本や日本企業はどのように変革しなければならないのか。アフターコロナという新たなステージに踏み込んだ今だからこそ、立ち位置を確認しつつ、複雑な変化を読み解き、進むべき方向性を考える必要がある。日本と日本人は自らを謙遜しすぎても尊大になりすぎてもいけない。かつての輝きをなくしたとはいえ、まだ日本は多くの資産や知恵を蓄積しており、さまざまな力を持ちうるのである。
本号では、まず総論で日本経済や日本企業の現在地と今後の課題を見定め、事業環境の地殻変動が起きているなかで取り組むべき5つの提言をまとめた。これらの提言は、日本がかつての勢いを取り戻して「再生」し、世界をよりよい場所とするためのリーダーシップを発揮するために重要なことだと考えている。
総論以降は、コロナ禍やテクノロジーの変動、ESGの潮流などに大きな影響を受け、これから一層の変革が必要となる観光・宿泊、自動車、製薬の3業界に焦点をあてた。それぞれに現状と先行きを分析したうえで、今後の成長に必要な手立てを解説している。これらで論じている内容は、3業界以外においてもヒントにつながると考えている。
失われた時代の継続か、成長軌道への復帰か。新しい時代を迎えるなかで、日本と日本企業は岐路に立っている。本号の分析や提案が、日本企業の戦略構築や、日本経済が前進するための一助となれば幸いである。
PDFファイル内の執筆者の所属・肩書きは、レポート執筆時のものです。
ストラテジーアンド・フォーサイトは、PwCネットワークの戦略コンサルティングチームStrategy&が、経営戦略についてのさまざまな課題をテーマに、経営の基幹を担われている皆さまに向けて発行する定期刊行物です。日本企業の方に興味を持っていただけると思われる記事をリーダーシップチームのメンバーが執筆、また欧米で刊行している季刊ビジネス誌「strategy+business」およびグローバルで刊行している冊子や調査報告書の中から抄訳し、ご紹介させていただいております。